今更だけど、45歳定年制に物申す

サントリーホールディングス代表取締役社長である新浪剛史氏が、経済同友会のオンラインセミナーで、「45歳定年制を敷き、個人は会社に頼らない仕組みが必要だ」 という発言をして波紋をよんだ。


要は、須く65歳まで雇用を維持する余力はどこにもないのだから、45歳以降は自助を促し、個として生きられるようにする仕組みが必要だと言いたかっただけなのに、原則65歳まで雇用を維持せよという国からのお達しに反して「45歳以上不要論」を唱えているかのように伝わってしまったから変な反応しか出なかったのだと思うのです。

別に新浪さんは、世の中的な「45歳以上不要論」を唱えたかった訳じゃないんでしょう。

定年を65歳とすれば、22歳の新卒入社から43年も保ち続けられるビジネスモデルなんてそうそうない。

それが可能なのは、精々大手の限られるにもかかわらず、大手銀行や総合商社なんてところは、昔も今も新卒同期の大半が40歳代半ばで会社を去るのが当たり前みたいだし。新浪さんがどう言おうと、今だって45歳以上の雇用が安泰だなんてことは決してない。

低成長が続き、これからも上がり目がないと思われる日本では、それを可能にしてきた大手企業ですら45歳以上の雇用を維持し続けることは難しいから、「誰からか」は別として出るべくして出た話しだと個人的には思っている。

この話しが出ようが出まいが、45歳になってもそれなりのポジションにいない者は評価されないし、そう言った者に対しては意に沿わない異動・転勤は当たり前、出向・転籍、退職勧奨だって普通にある。

45
歳以上の普通の会社員が会社に残ろうと思えば残れないことも無いが、大半の者が不幸な日々を過ごさざるを得ない今の世の中を是とするか、45歳以降は自助を促し、個として生きられるようにする仕組みがある世の中を是とするか。

個として生きられるようにする仕組みが整備されているという前提条件付きならば、私は後者を選ぶと思いますね。

例えば、45歳以上の個人事業開業者に対する税の優遇措置だったり、万が一の破綻に際して、金融機関に対して個人債務補償に制限を付けたりなんてことは必要なんじゃないかと思うのです。

起業して失敗すれば身ぐるみ剥がされた上に債務が残り、結局生命保険で精算なんて酷い話しを聞けば、リスクをとって個として生きようと思わず、辛いけど会社に残ることを選択する人は少なくないでしょう。

ロバートキヨサキの著書など読む限り、アメリカでは何度でも起業にチャレンジできるようです。

出資した金は失うけど、企業としての債務は企業に限定され、その企業に出資した人には及ばない。

だから、日本みたいに一度の失敗で人生をフイにすることもなく、上手くやれば何度も起業にチャレンジできるようなのです。

優秀な人ですらリスクを取りにくい今の日本で、45歳を過ぎて社内でもうだつが上らない普通の人にリスクを取れというのは酷な話しですが、そのリスクを低減させる仕組みがあれば話しは変わって来ると思うのです。

新浪さんが必要だと言った「個人は会社に頼らない仕組み」が、個人事業の起業リスクを低減するものだとしたら、私を含めて45歳を過ぎて社内でもうだつが上らない普通の人にとって、早急に整備が必要な社会的な仕組みだと思うのです。

自己責任という言葉を良く耳にする今の日本を見てると、企業と個人で取らされるリスクの度合いが、著しく後者に不利だと感じていますし、個人の起業リスクの低減への動きが止まるのは避けたいと思った今回の騒動でした。



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